Super Minimum Challengeが国内最高峰のモンスターマシンと鈴鹿サーキットで共演

鈴鹿2&4に行ってきました

2024年3月8日~9日、鈴鹿サーキットで国内最高峰レースであるMFJ全日本ロードレース選手権シリーズとスーパーフォーミュラの開幕戦が開催されました
2輪と4輪の国内最高峰レースの競演で「SUZUKA 2&4レース」と呼ばれています。
その国内最大のモータースポーツイベントに、スーパー ミニマム チャレンジ レーシングチーム(以下SMC)がブースを出展し、国内最高峰マシンとの共演を果たしました。もちろん、マシンのスペックが全く違うので競演ではなく共演です。
SMCは、ユタ州の塩の大地、ボンネビルソルトレイクフラッツで毎年8月に行われるボンネビル モーターサイクル スピード トライアル(以下BMST)で原付バイク世界最高速度記録の更新を目指すチームですから、300㎞/h以上のスピードで戦う、JSB1000(Japan Super Bike 1000ccクラス)のスーパーバイクやスーパーフォーミュラマシン(昔のF2)と一緒に走るわけではありませんが、メインスタンドの真ん前にあるGPスクエアにブースを展示させていただいたので共演とさせていただきます。

当日は、3月には珍しい小雪が舞う寒い日でしたが、幸い、2日間とも晴れの天気で、鈴鹿サーキットには3万人以上の人出があり、SMCブースにもたくさんのお客様に足を運んでいただきました。
ライダーでSMCのリーダーである近兼拓史さんが、聴衆に向かって、マシンやBMSTのことをお話ししたり、SMCのエンジニアサポートで、JSB1000レースに参戦しているTAIRA PROMOTE RACINGによる、マシンのエンジンデモがあったり、ラジオ大阪の「近兼拓史のウィークリー・ワールド・ニュース」の公開収録があったりと、多くの方に楽しんでいただいたようです。

パドックから見るモータースポーツ

今回は、ご厚意でパドック(ドライバー・チーム関係者などがサーキット内で過ごす場所)の中を見せてもらうことができました。
パドックの近くは、耳をつんざくようなエンジン音や、タイヤの溶ける匂いやオイルの焼ける匂いが立ち込めます。間近で見るレーシングマシンは、武骨ではありますが、走るためだけに生まれてきた姿は、サラブレットのように美しく、見ていて惚れ惚れします。
国内最高峰のレーシングチームが集まるパドックですから、モンスターマシンはもちろん超高級なレーシングパーツが無造作に置かれ、多くのエンジニアはチームのマシンが一秒でも速く走れるよう、作業に没頭しています。
このクラスになると、マシンを運ぶトランスポーターも凄くて、巨大なトレーラーが並んでいます。おそらく、ドライバーやスタッフが打ち合わせにも使っているのでしょう。
観客席から見るレースも面白いのですが、パドックから見る景色は、まったくの非日常を味わうことができ、モータースポーツの楽しさをより引き立ててくれます。
もし、レースを観戦される方は、少しお金がかかりますが、ぜひパドックパスをお買い求め、パドックを散策することをお勧めします。

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スポンサーが支えるモータースポーツ

パドックを歩いて思ったことは、レーシングチームの皆さんの熱い気持ちを感じられたことと、モータースポーツはスポンサーの存在なしに語れないということです。
2輪であっても、マシンは最低数百万円はしますし、タイヤやホイールを変えるだけでも数十万円はします。
これに遠征費やら、ライダーやエンジニアの人件費を加えたら、おそらく少なく見積もっても年間数千万円はかかるでしょう。
それに対して、優勝してもせいぜい数十万円から数百万円の賞金しかありません。きわめて経済効率の悪いスポーツです。自動車やバイクメーカーが技術の向上のためにレースをするというのはわかります。しかし、自動車と全く関係ない企業も参戦しています。
なぜチームが運営できているかといえば、スポンサーの支援にほかなりません。
お金持ちの道楽という側面がないわけではありませんが、モータースポーツはスポンサーシップなしでは成り立たないことがよくわかります。

なぜ、モータースポーツにスポンサーが集まるのか

機能美に優れた車体、唸るエンジン音、非日常的なスピードでサーキットを駆け抜けるマシンは、人々に強烈な感覚を与えます。その背景には、エンジン、エアロダイナミクス、タイヤ、燃料などの高度な技術があるからです。モータースポーツは、技術と革新のショーケースであり、スポンサーは、そのイメージを自社のプロダクツやサービスと重ねることで、優れたブランドイメージをつくることができると考えています。
加えて、誰が一番速いのかを決める勝利への情熱や努力、チームの想いなどが圧倒的で、見る人を魅了するのもモータースポーツの特徴です。
最速というゴールに向かい、最高の技術を用いた、最高のプロダクツを、最高のライダー(ドライバー)とエンジニアが、危険と隣り合わせで挑む姿に、エンゲージメントが高まり、多くのスポンサーが共感するのです。

解けかけたSMCとスポンサーのエンゲージメント

2019年、SMCは、50ccと125ccのマシンで、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)とAMA(全米モーターサイクル協会)の6つの世界最高速度記録を達成するという偉業を成し遂げました。
しかし、2020年以降は、パンデミックの影響で物流が混乱しマシンをアメリカに送ることができなかったり、度重なる異常気象の影響で大会自体が中止となったため、この4年間ボンネビルで走ることができていません。
この間も、SMCはマシンの大幅な軽量化を図るなど着実に進化はしていたものの、スポンサーをはじめとしたご支援をいただいている皆さんに、その雄姿を見せることができませんでした。
現在でも、小排気量のクラスではチャンピオンではありますし、「走ることができれば世界最高速度記録を更新する」と言われているSMCでありますが、4年もの間、マシンが実際に走る姿を見せることができない状況では、どう考えてもスポンサーの期待は低くなり、継続してご協力いただくのは難しくなりました。
マシンの輸送費やスタッフの渡航費だけでも1000万円以上が必要です。それに加え、マシンの改良やメンテナンスにも費用が掛かります。どうしてもチームの運営にはスポンサーの協力が不可欠です。
今年こそはと臨んだ2023年のBMSTの中止は、チーム運営の危機を現実のものとしました。

SMCを応援していただくために何をするべきか

2023年のBMSTが中止となった時点で、どうすれば、スポンサーに従来同様、ご支援をいただけるのかを考えました。SMCというプロジェクトに、再び共感してもらえなければスポンサーの継続は絶望的です。
まずは、SMCが、この走れない4年間、何をしていたかを知ってもらわなければ、共感どころか、理解すら得られるわけがありません。
いくら素晴らしいチャレンジであっても、知ってもらってはじめて応援していただけるのであり、知らないことを応援することはできません。
「知る人ぞ知る」という言葉をありがたがる人がいますが、「知る人ぞ知る」ということは、一部の人にしか知られていないということです。これではスポンサーの共感は得られません。スポンサーにとって、優れたPRコンテンツであるためにも、たくさんの人に認知されることを考えました。

そこで出てきた答えが、実際にマシンが走っている姿を見せるということです。
昨年11月に秋田県の大潟村で行ったテスト走行イベントがそれです。
https://www.ns-tool.com/ja/for_crafting_future/category/sub_category/607.html

極力コストを抑えるため、コースの設置などはチームのスタッフが手作業で行い、PRも有償のPRは行わず、プレスリリースによるパブリシティだけにしました。
もっとPRにコストをかけなければメディアには取り上げてもらえないかもしれないと考えていましたが、それは杞憂に終わりました。
BMSTに出場できていないからニュースにならないだけで、影ながらSMCを応援してくださるメディアの方がたくさんいました。プレスリリースと同時に、たくさんの新聞や雑誌、webメディアに取り上げていただきましたし、イベント当日は、NHKや地元秋田の放送局でもその様子が放送されました。
プレスリリース配信サービス会社の報告では、1000万円以上のPR価値があったとのことです。


NHK ニュース 原付きバイクのテスト走行 非公式ながら世界最速記録 大潟村
https://www3.nhk.or.jp/lnews/akita/20231123/6010019692.html?fbclid=IwAR1CGhXxKdKLrIJGes bzdW9yxf4yllevjpzDxDG4eDhXzaPL7FSSG96Yjuo

2024年はSMCにとって勝負の年

今年のSMCのスケジュールは、3月の鈴鹿サーキットでのブース出展(今回)に始まり、5月秋田県大潟村での渡米直前走行テスト(予定)、8月のBMSTに出場し最高速度記録を更新することです。
去年までは、8月のBMSTに出場するだけで、SMCのスケジュールや、レース以外、何をしているのかについての情報発信はほとんどされませんでした。
ファンの皆様やスポンサーの共感を維持するために、今年は、一つ一つのイベントをプレスリリースするなどして、SMCの今を伝えることにしています。
影ながら応援していただける人がいることがわかり、プレスリリースをすれば、ある程度の反響があることはわかりました。

もう一つ、2024年には意味があります。
ライダー兼SMCのリーダーである近兼さんは今年62歳
映画「世界最速のインディアン」で有名なニュージーランド人のバート・マンローが、BMSTで1000cc以下のオートバイ陸上速度記録を樹立したのが62歳の時です。
バート・マンローが成し遂げたチャレンジを、62歳の近兼さんが、52年ぶりに同じ年齢で成し遂げることができれば、日本のみならず海外のファンの皆様の共感を得られ、よりスポンサーバリューを高めることができると考えています。

クラウドファンディングでご支援ください

今年1月、日進工具は今年度のSMCのスポンサーになることを真っ先に決めました。
「日本の精密微細金属加工技術を結集して世界最小・最精密クラスでのオートバイ世界最速記録を目指す」という、もともとのSMCの理念に共感したことに加え、大潟村のイベントによるPR効果や、スポンサーのメリットを考えた今年度のPR方針を評価していただいたようです。
SMCの今年の活動が、ようやく少し見えてきました。

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しかし、資金的にはまだまだ厳しい状況であることには変わりはありません。
そこで、SMCは、企業スポンサー以外にも、SMCのチャレンジを応援していただけるようクラウドファンディングを実施しています。
お得な特典もあり、少額から、原付世界最高速記録の更新を挑む、SMCのスポンサーシップを味わえます。
ぜひ、奮ってご支援をお願いします。
https://readyfor.jp/projects/SMC2024

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栗本 義丈

アルファ・ファンクション代表(https://www.alpha-function.jp/) 「知らない会社の株は買わない」をモットーに、主に上場企業のIR、ブランディング支援を実施 他にも、経営戦略の策定、株式上場支援、地方創生(観光DMOの設立等)の支援、ライターとしても活動中 kurimoto@alpha-function.jp