2024年8月23日 09:00
ミスしてしまったらどうする?失敗からのリカバリー方法とは
仕事ができる人はミスのリカバリもー上手い 失敗を予防する実践的な方法とは
「ミスしてしまった!」「やらかしてしまった...」そんな瞬間は、誰もが経験したことがあるはず。
失敗はできれば経験したくない事柄ですが、そこから学べることもあります。今回はミスをしてしまった時の心構えや、失敗を未然に防ぐちょっとしたコツを紹介します。
みんなミスるんです
あまり言いたくはありませんが、筆者もたくさん失敗をしてきました。
お客様からかかってきた外線電話を担当者に取り次ごうとしたものの、保留ボタンを押さずに切ってしまったり(後で平謝りしました。)、問合わせのメールを全く違う会社の方に送ってしまったり。(機密事項についてのメールではなかったため難を逃れました。)
他にも、必要な部品を手配するために発注をかけたものの、型式が間違っていて使えない部品を購入してしまった。(上司に怒られた後、正しい部品を手配しました。)
実験を行うために水を貯める必要があったのでホースで水槽に水を貯めようとしたけれど、何を思ったのかホースから手を離してしまい、ホースが暴れて周囲を水浸しにしてしまった。(周囲にいた人に怒られた後、掃除しました。)
などなど。他にもたくさんあります。
「もう、ホントに私ってダメだな...」、「あー、またやってしまった...」
そう思った経験、あなたにもありませんか。
ミスして落ち込む気持ち、よ〜く分かります。
でも、大丈夫。 みんな同じようにミスをして、そこから学んで成長しているんです。 むしろ、ミスを恐れないで、失敗から学び、次に活かすことが大切です。
失敗の種類別 対策法
ミスから学んで成長する。そうは言っても、なかなか難しいですよね。でも、諦めずに、一緒に失敗の対処法を学んで、もっと仕事を楽しんでいきましょう。
ケアレスミス編
例えば、書類の誤字脱字、変換ミス、数字の入力ミス、コピー&ペーストのミス、会議日程を間違えるなど「よく確認しておけば防げたのに!」という失敗は、誰にでもあります。
ヒューマンエラーがなぜ起こるのかについて考察した論文では、「予見」や「期待」がミスを生むと述べられています。*1
例えば、レポートを書いた時、書いた本人は「文章が間違っていないだろう」という予見があるため、ミスに気が付きにくいのです。
この論文では、個人の注意や記憶に完全を求めるのは不可能とも述べています。注意力を365日ずっと継続させることは不可能ですし、これまで起こったことをすべて記憶しておくこともできません。
そのために必要になってくるのは、二重、三重のチェック体制です。
先ほどのレポートの例でいえば、自分で読み直す、文章校正ツールを使ってチェックする、友達に読んでもらう、などの方法があります。
ただ、先ほども述べた通り、文章を書いた本人は「間違っていないはず」という思い込みがあります。複数回自分で読み直すよりも、ほかの手段でチェックした方が、よりミスに気が付きやすくなります。
コミュニケーションミス編
相手との認識のずれや、伝え方の問題で起こるコミュニケーションミス。
筆者は生成AIを活用するようになって、伝え方がいかに重要であるかを痛感しています。皆さんは生成AIに指示を出して、返ってきた答えに「そういうことじゃないんだけど・・・」、「もっとこうしてほしかったのに」、「生成AIってそれほど使えないな」と思った経験はないでしょうか。
生成AIを使い始めたころは、筆者もそう思っていたクチです。
しかし、生成AIのセミナーに参加して驚きました。講師の方は、生成AIに上手に指示を出し、欲しい答えを導き出していたのです。使う人によってこんなにも得られる結果が違うのかと痛感しました。
よく、「生成AIは優秀な新入社員」という例え方をされます。知識は豊富ですが、仕事に関する経験がないので、具体的な指示がないとよい答えを導き出せないのです。
AIの活用は、人間同士の情報伝達のトレーニングにもなると感じています。実際、セミナーでも生成AIをうまく使いこなせる人は、人間に対する指示だしが上手であると紹介されていました。
人間と仕事をするうえでも、説明を補足したり、具体例を挙げたり、分かりやすい言葉に言い換えたりと、工夫することが大切です。
筆者も人に何かお願いや質問をして、期待していた内容の返答が得られなかった場合は、自分の伝え方に問題がなかったのか改めて確認し、相手に分かりやすく説明するように心がけています。
例えば、「もっとたくさん」という指示を出した時、「たくさん」という感覚は人それぞれ違う尺度を持っています。このような場合は「あと○○個」というように、数字を使って説明する方がよいでしょう。
生成AIに「アイデアをたくさん出して」とお願いしても、2個しかアイデアを出してもらえない時があります。2個は複数ではありますが、指示を出した側としては「2個は『たくさん』じゃないんだけどな」と思ってしまいます。このような場合、「アイデアを10個出して」と具体的に個数を指定すれば、2個しかアイデアが出てこなかった時のがっかりを解消できます。
「このフォーマットを参考にして」と具体例を提示することも有効です。
そして、伝えた内容が理解されているか、確認することも忘れてはいけません。
これらは、情報の受け手側になった時でも忘れたくない事柄です。指示をもらった時に、自分の理解・解釈が間違っていないか再確認する、具体的数字の提示がなかった場合は、時間や個数などの数字を確認することを意識しましょう。
失敗後の心構え
では、失敗が起きてしまったときはどうすればよいでしょうか。最初に心がけたいのが「焦らない、慌てない、隠さない」の3つです。
過去に筆者が参加したコミュニケーションのセミナーで、部下がいる立場の人が「失敗したときはなるべく早く報告してほしい。報告をもらうことで、いち早く対策をとれる。」と話していました。失敗してしまったときのリカバリー方法の最善策は、報告し対策を練ることではないでしょうか。
「怒られるのでは」「恥ずかしい」といった思いから、失敗を報告したくない思いに駆られてしまいます。しかし、失敗を隠ぺいしていいことはありません。
過去、筆者も恥ずかしながら「このくらいのミスは報告しなくてもいいか」と思って報告しなかったミスが、後々つじつまが合わなくなり焦った経験があります。
失敗してしまった時には、焦らず、慌てず、正直に上司や先輩、同僚に報告して対策を練りましょう。
「失敗は成功の母」という言葉があるように、失敗から学ぶことは非常に大切です。失敗から何を学び、どのように次に活かすのか。そのプロセスこそが、成長の糧となるのです。
失敗の原因は何か、そして失敗しないためにはどうしたらよいのか対策することが成長につながります。
企業であれば、不具合や事故発生事例を共有することで、その事例の何が悪かったのかを学習できます。自社で起こった不具合事例を共有している企業も多いのではないでしょうか。筆者が勤務していた企業でも、不具合発生事例の勉強会が定期的に開催されていました。
起きてしまった失敗は、これから失敗を起こさないための教材として活用しましょう。
失敗予防のちょっとした仕組み
ミスを完全になくすことは難しいですが、ちょっとした工夫で失敗を減らすことができます。ここでは、日常業務に取り入れやすい3つの方法をご紹介します。
チェックリストの活用
チェックリストを作成して活用することで、こういったミスを防ぐことができます。
特定非営利活動法人失敗学会 副会長である飯野謙次氏は、自身の著書「仕事が早いのにミスしない人は、何をしているのか?」の中で、チェックリスト作成のポイントとして「1作業1チェック」が重要であると述べています。複数のステップが含まれていると、チェック作業中に考える必要が出てくるためです。*2
例えば、「機械の安全を確認する」という表現より「機械Aの非常停止ボタンが正常に作動するかテストする」という表現の方が、間違いが起きにくくなります。
「確認」の習慣化
「確認」を習慣化することで、多くのミスを未然に防ぐことができます。例えば、重要な数字を入力する際は、入力後に必ず声に出して読み上げる。メールの送信ボタンを押す前に、必ず30秒間待つ。このような小さな習慣が、大きなミスを防ぐ鍵となります。
筆者の場合、スマートフォンのメモ機能を活用しています。重要な情報をメモし、後で見返すことで、記憶違いによるミスを防いでいます。「確認」の方法は人それぞれ。自分に合った方法を見つけて、習慣化しましょう。
周りを味方に
自分では気づかないミスも、他人の目があれば発見できることがあります。特に重要な書類や企画書は、ほかの人にチェックしてもらう習慣をつけましょう。
また、「○○さん、これ確認お願いします!」と気軽に声をかけ合える雰囲気づくりも大切です。お互いに助け合う文化があれば、ミスの早期発見・対応にもつながります。
これらの方法を組み合わせて活用することで、失敗のリスクを減らすことができます。完璧を目指すのではなく、少しずつでも改善を重ねていくことが、長期的な成功につながるのです。
失敗は成功のもと
「失敗は成功のもと」といいますが、実際はなかなかそう思えない時もあります。でも、大切なのは、失敗から学び、次に活かすこと。
明日から、あなたなりの「失敗予防の仕組み」を始めてみませんか。例えば、ToDo リストを作る、メールを送る前に必ず見直す、同僚にダブルチェックをお願いする。小さな一歩でいいんです。
ミスが多い筆者も、みなさんと共に頑張ります。
参照・引用を見る
*1
出所)増地 あゆみ「ヒューマンエラーはなぜ起きる-組織と個人の心理学入門-」北海学園大学経営論集 2006年 P122, P124
http://hokuga.hgu.jp/dspace/bitstream/123456789/449/1/KEIEI-3-(34)-9.pdf
*2
出所)「仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?」飯野謙次 著 P51~P54
田中ぱん
学生のころから地球環境や温暖化に興味があり、大学では環境科学を学ぶ。現在は、環境や農業に関する記事を中心に執筆。臭気判定士。におい・かおり環境協会会員。