
2024年5月 2日 09:00
マスクの効果を最大限に引き出す!マスクの正しい付け方・外し方
マスクの効果を最大限引き出す!マスクの正しい着け方・外し方を薬剤師が解説
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類」へと引き下げられ、マスクの着用は原則として個人の判断に任されることになりました*1。
とはいえ、病院や介護施設など重症化リスクの高い人が多くいる場所では、マスクの着用を求められることが少なくありません。また、いわゆる「密」が避けられない場所については、感染予防としてマスクの着用が推奨されています*1。さらに、花粉対策としてマスクを利用している人も多数います*2。
しかしながら、ウイルスや雑菌、花粉の侵入を防ぐためにはマスクを正しく装着しなければいけません。また、ウイルスや花粉による汚染を防ぐためには、外す際にも注意が必要です。

https://virus-eisai.com/mask/infection/
そこで今回は、マスクの正しい装着方法や外すときの注意点を解説します。マスクの上下・裏表を判別する方法やゴムで耳が痛くなるときの対処法も紹介しますので、マスクの使用にストレスを感じている方はぜひ参考にしてください。
マスクの基礎知識
最初に、マスクの上下や裏表を確認する方法と自分に合うマスクサイズの確認方法を紹介します。
マスクの上下・裏表の確認方法
マスクの上下や裏表の確認方法は、基本的にパッケージに記載されています。
もっとも、パッケージを捨ててしまった場合や、外出先で確認が難しい場合もあるでしょう。そのような場合は、以下を参考にしてください。
平型マスク
平型マスクは、ガーゼマスクの代表的な形です。
平型マスクは上下・裏表の区別はないため、使い始めはどちら側を表あるいは上にしてもかまいません。
ただし、マスクは一度使用すると汚れなどが付着します。
汚れた面を顔に当てたくない場合は、目立たない部分に小さな印を付けておくとよいでしょう。
立体マスク
立体マスクは、ノーズクッションやノーズフィッターが付いているほうが上です。これらがない場合は、平置きしてとがった形になるほうが上です(図参照)。
もっとも、製品によっては上下が異なる場合もあるため、購入時に確認することをおすすめします。
なお、立体マスクの場合、開いたときに凸になる面が表側、凹になる面が顔側です。
引用)アラクスPITTA🄬MASKブランドサイト「Q&A>Q.どっちが上なの?」*4
https://www.arax.co.jp/pittamask/qa/
プリーツマスク
プリーツマスクも、ノーズクッションやノーズフィッターが付いているほうが上です。
裏表は、プリーツの向きで確認します。
プリーツがすべて同じ向きになっている「階段タイプ」の場合は、プリーツの段が下向きになる面が表側です。正しく着用すると、横から見たときにマスク上部が最も高くなります。
プリーツが上下で異なる向きになっている「オメガ(Ω)タイプ」の場合は、中央部が凸になっている面が表側です。正しく着用すると、横から見たときにマスク中央部が最も高くなります。
自分に合うマスクサイズを知る方法
マスクを隙間なくはめるためには、自分に合うマスクサイズを知っておく必要があります。マスクサイズの測り方は以下のとおりです。
引用)一般社団法人日本衛生材料工業連合会「衛生関連製品>マスク>マスクの効果と選び方編>Q3.自分に合ったマスクのサイズはどのように選ぶのですか?」*5
https://www.jhpia.or.jp/product/mask/mask2.html#q3
なお、マスクのサイズは製品によって多少違うため、購入前に確認してください。
マスクの正しいはめ方・外し方
ここからは、マスクの正しいはめ方と外し方、そして、耳が痛くなる場合の対処法を紹介します。
隙間なくマスクをはめる方法*6
平型マスクや立体マスクは形がシンプルなので、はめるときに苦労することはほとんどないでしょう。ここでは、隙間なくはめるのが難しいプリーツマスクの使い方を説明します。
なお、マスクを触る際にはあらかじめ手を洗ってください。これはすべてのマスクに共通です。プリーツマスクのはめ方は、以下のとおりです。
マスクを顔に当て、ノーズフィッターを鼻の形に合わせて軽く曲げます。
このようにすると、鼻の部分に隙間ができにくくなります。
マスクを顔に当てたまま、耳かけ部分を両耳にかけます。
耳かけ部分を強く引っ張ると取れてしまうことがあるため、力を入れすぎないようにしましょう。
ノーズフィッターを押さえながら、プリーツを広げます。
マスクをあごの下までしっかり伸ばし、顔全体を覆うのがポイントです。
最後に、マスクをしっかり顔へフィットさせます。
鼻・頬・あごにしっかりなじませ、隙間を作らないようにしましょう。
感染対策・花粉対策に使ったマスクを外す方法*7*8
感染対策あるいは花粉対策で使用したマスクは、汚染されていることを前提として取りあつかわなくてはいけません。当然、外すときは細心の注意が必要です。
手指の汚染を防ぐマスクの外し方は、以下のとおりです。
1.左右の耳かけ部分を持ってマスクを外します。
マスクの表面にはウイルスや花粉などが付着している可能性があるため、できるだけ触らないようにしましょう。引用)自治医科大学付属さいたま医療センター「診療科のご案内>感染制御室>マスクの効果と正しい使用方法」*7
https://www.jichi.ac.jp/center/sinryoka/kansen/taisaku_04.html
2.使い捨てマスクは、ビニール袋に入れ密閉した状態で捨ててください。ビニール袋が用意できない場合は、ティッシュにくるんで捨てましょう。できれば、蓋つきゴミ箱に捨ててください。
なお、再使用が可能な布マスクやウレタンマスクは、すぐに洗ってください。外した直後に洗えない場合は、ビニール袋などに入れてウイルスや花粉が飛散しないようにしましょう。
3.最後に、しっかり手を洗います。
マスクを外す際に手指に付いた汚れをしっかり洗い流し、ウイルスや花粉の侵入を抑えましょう。
マスクで耳が痛くなるときは......*9
マスクを長時間はめていると、耳が痛くなることもあります。
そのような場合は、耳かけ部分と耳の間にティッシュペーパーを挟むと痛みが少し和らぎます。ただし、ティッシュペーパーを挟むとフィット感が変わってくるため、マスクが浮かないように気を付けてください。
また、左右の耳かけ部分に髪の毛用のゴムなどを結び付け、頭の後ろで縛ってゴーグル状にするのもおすすめです。見た目が気になる場合は、市販のマスク紐用ベルトなどを利用するとよいでしょう。
なお、耳かけ部分を強く引っ張りすぎると取れてしまうことがあるので、注意してください。
マスクを選ぶ際に、耳が痛くなりにくい商品を選ぶのも方法の一つです。
耳かけ部分のゴムが太いものや、柔らかい素材でできているものなどを選ぶと、着用時の耳の痛みを緩和できるでしょう。
感染・花粉対策はマスクの正しい装着から
マスクは、感染対策や花粉対策に大変有用なアイテムです。しかし、耳の痛みなどでストレスを感じると長時間使い続けるのが難しくなります。また、誤った着け方をしていると十分な効果が期待できません。
マスクを選ぶ際に、顔のサイズや耳かけ部分の形状に注意するだけでもフィット感や使い心地の良さが変わってきます。
自分に合う使いやすいマスクを選び、正しく装着して健康維持に役立てましょう。
参考文献・参考サイト
*1
出所)厚生労働省「政策について>分野別の政策一覧>健康・医療>健康>感染症情報>新型コロナウイルス感染症について>新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/corona5rui.html
*2
出所)ウェザーニュース「ニュース>2024>2人に1人以上が花粉症、すでに過半数が発症も対策は遅れ気味」
https://jp.weathernews.com/news/45731
*3
出所)ウイルス・菌対策研究所|エーザイ「ウイルス・菌を防ぐマスクの正しい使い方>マスクに関する意識調査」
https://virus-eisai.com/mask/infection/
*4
出所)アラクスPITTA🄬MASKブランドサイト「Q&A>Q.どっちが上なの?」
https://www.arax.co.jp/pittamask/qa/
*5
出所)一般社団法人日本衛生材料工業連合会「衛生関連製品>マスク>マスクの効果と選び方編>Q3.自分に合ったマスクのサイズはどのように選ぶのですか?」
https://www.jhpia.or.jp/product/mask/mask2.html#q3
*6
出所)政府広報オンライン「健康・医療・福祉>病気予防>マスクの正しい着け方」
https://www.gov-online.go.jp/prg/prg20344.html
*7
出所)自治医科大学付属さいたま医療センター「診療科のご案内>感染制御室>マスクの効果と正しい使用方法」
https://www.jichi.ac.jp/center/sinryoka/kansen/taisaku_04.html
*8
出所)フマキラー For your LIFE「お役立ち情報>マスクには向きがある?意外に知らないマスクの正しいつけ方を解説」
https://fumakilla.jp/foryourlife/659/
*9
出所)久光健康情報|久光「セルフケアお役立ち特集>マスクで耳が痛い原因は?応急処置とその後の対策を紹介!」
https://www.e-hisamitsu.jp/health/special/mask-cause/

中西 真理
公立大学薬学部卒。薬剤師。薬学修士。医薬品卸にて一般の方や医療従事者向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。現在は、フリーライターとして主に病気や薬に関する記事を執筆。